【編集長のつぶやき vol.508】 時代は今、宿泊施設による「囲い込み」から、まちぐるみでの「囲い込み」へ。
2017.10.18 Wednesday 00:00

2017.10.18

先日、弊社のニュースサイトで記事ネタとして採用したプレスリリースの中に、注目すべき取り組みがありました。

 

それは、地方中核都市にあるシティホテルが、地元の大学と連携し、「食」や「衣」に関する独自のタウンマップを作成した、というものです。

 

もちろん、ホテルが宿泊客へのサービスの一環としてちょっとしたタウンマップを作成することは珍しいことではありませんし、「食」を媒介としたホテルと大学の産学連携についても、弊社のニュースサイトでは随分と報道してきました。

 

ただ、今回の取り組みがこれまでの動きと異なるのは、このシティホテルが、宿泊施設による「囲い込み」から、まちぐるみでの「囲い込み」への大きなシフトチェンジを「宣言」している点です。

 

もちろん、こちらのホテルは、宿泊特化型のビジネスホテルではなく、あくまでもシティホテルですから、館内にはしっかりとしたレストランや宴会場、結婚式場を完備しています。

普通に考えたら、レストランフェアなどを中心に、宿泊客を「囲い込む」ことを考えるでしょう。

 

しかし、そこをあえて、宿泊客にはマチナカに繰り出してもらおう、というのです。

しかもマップに掲載されているのは、飲食店だけでなく、衣料品などを販売するお店などもあり、市民の日常に潜入?する、相当ディープな旅を提案している様子。。。

 

宿泊客にまち全体の魅力を発見してもらい、マップの配布を通じて結果的に「選ばれるホテル」になれば、まちなかのお店とホテルはWinWinの関係になるでしょう。

 

さらに言えば、このホテルが所在する地方中核都市には、非常に強力なライバル都市が存在します。

こうした取り組みが生まれる背景には、一種の「都市対抗戦」といった状況があるのかも知れません。

 

実は、宿泊施設による「囲い込み」を抑制し、まちぐるみでの「囲い込み」を図るという動きは、温泉街では以前からありました。

 

例えば、旅館内のお風呂はあえて最小限にし、場合によっては食事の提供もせず、とにかくまちなかの外湯や飲食店、娯楽施設を回ってもらおう、というポリシーを貫くことで「かいわい」が生まれ、それが温泉街全体の大きな競争力となっている某温泉街。

 

また、旅館内には立派な大浴場がある温泉街でも、それを「外湯」として巡れるように工夫し、まち全体の回遊性を高めている某温泉街もあれば、一部の著名な温泉郷でも、あえて食事の提供を「廃止」したことで、自由に自炊や外食が楽しめる宿として人気を博している例もあります。

 

まあ、こうした動きのうち、「素泊まり化」については、深刻な人手不足という別の要素もあるようですが。。。

 

今回取り上げたのは、とある1軒のシティホテルによる取り組みですが、これがマチナカの複数のホテルによる取り組みにまで発展すれば、某温泉街のように、まち全体の大きな競争力に繋がるような気がします。

 

今後の動きに期待しましょう。

 

ニュース投稿やご質問・ご相談はこちら

P R ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

| まちおこし編集長 | 編集長のつぶやき | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【編集長のつぶやき vol.507】 世界遺産への登録ではなく、歴史的建造物を「用途変更」することで「保護」する方法。
2017.10.16 Monday 00:00

2017.10.16

今回は、前回の予告どおり、世界遺産基準による「保護」か、それ以外の枠組みでの「保護」のどちらが地域にとってより「有利か」というお話の続きです。

 

世界遺産登録後、直後のブームはあっという間に去り、短期間で観光客が激減したという国内の某所では、実は歴史的建造物の一部を宿泊施設にリノベーションしよう、という構想がありました。

 

しかし、世界遺産の基準とやらのハードルが高く、そう簡単には改修できないというのです。

これが登録前から現役の施設で、「現業」をそのまま継続する場合はさほど問題は無かったことでしょう。

 

一方、一度現役を退いた建造物が、かつての現業と異なる用途で使用される場合、「保護」という観点からすれば、建造物自体を展示施設とする博物館・記念館といった用途以外への「転用」は、どうしても認め難くなります。

 

まあ、この理屈は分からないでもありません。

あくまでも、厳格な「保護」ありきで地域振興を図ろう、という選択だって間違いではないと思います。

 

ただ、歴史的建造物を「維持」する手法はそれだけではないはず。

 

事実、建造当時の役目を終えた歴史的建造物を「用途変更」することで、一定の収益を上げながら維持費を捻出、歴史的建造物が「維持」されることで、結果的に「保護」に繋がっている例は少なくありません。

 

そしてその用途変更の多くは、宿泊施設や結婚式場、貸し会場やカフェなどだったりします。

こうした施設は、歴史的建造物であることに大きな「商品価値」が発生するため、比較的事業化しやすい分野と言えるでしょう。

 

また、国や自治体の財政状況を鑑みると、公費負担を軽減する、という意味では、「採算の取れる部分」はある程度、営利企業に任せた方が得策という考え方だってあります。

 

もちろん、用途が変わってしまった時点で、それは「維持」でも「保護」でもない、という考え方も否定はしません。

それに、営利事業である以上、商売が破たんする、というリスクだって皆無ではないし、逆に採算性を重視し過ぎるあまり、「保護」の部分が疎かになる、という可能性だってあるでしょう。

 

しかしそれでも、その価値が少々インフレ気味?の世界遺産登録のみに焦点を当てるよりは、既に先行事例がいくつも存在する、一定の改修や用途変更を伴う保護のあり方についても、合わせて検討すべきかと思います。

 

ちなみに弊社のニュースサイトでは以前から、この種のプレスリリースは割と重視してきました。

該当するリリースがある方は是非投稿を(笑)。

 

ニュース投稿やご質問・ご相談はこちら

P R ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

| まちおこし編集長 | 編集長のつぶやき | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【編集長のつぶやき vol.506】 乱発し過ぎ?「世界遺産」というお墨付きの限界。
2017.10.11 Wednesday 00:00

2017.10.11

近年、この国では(というより世界的に?)様々な建造物や街並み、文化伝承などを「世界遺産」へ登録する動きが盛んです。

 

確かに、観光資源の世界的な認知度向上という点で、世界遺産登録へ向けた動きは、自治体や政府などからすれば、当然と言えば当然の動きでしょう。

 

しかし、以前から予想されていたことではありますが、この世界遺産登録、様々な問題が露呈してきています。

 

よく言われているのは、登録数自体の「乱発」。

 

〇〇デザイン賞や〇〇コレクションなど、明らかに受賞数や登録数が増え過ぎて、その価値が明らかに低下している例は世界遺産に限ったことではありません。

 

「一定の基準さえ満たしていれば、登録数に制限無し」という原則自体は悪いことではありませんが、当然、「希少性」は減退します。

 

とくに観光資源の場合、「希少性」は大きな武器になりますから、その認定数や登録数が少なければ少ないほど、お墨付きの「神通力」は強くなりますよね。

 

そして「やはり」と言うか、これまた予想された事態が起こってしまいました。

 

「世界遺産登録」が一種のゴールとなってしまい、登録直後は観光客が激増したものの、ブームはあっと言う間に去り、短期間で観光客が激減したところも出始めました。

 

一方、欧州などでは「開発か保護か」といったジレンマが生じ、開発に舵を切った結果、世界遺産登録が「抹消」された例も出ています。

 

ただ、その登録が「抹消」されたところでは、観光客は減るどころか、逆に増えているとのこと。

 

歴史的観光資源の利活用は、世界遺産が基準としている「保護」とは、必ずしも相いれないことが分かってきました。

 

さて、そうなると、あらためて議論が必要となるのは、世界遺産基準による「保護」か、それ以外の枠組みでの「保護」のどちらが地域にとってより「有利か」という点です。

 

このお話の続きは、次回以降にしたいと思います。

 

ニュース投稿やご質問・ご相談はこちら

P R ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

| まちおこし編集長 | 編集長のつぶやき | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【編集長のつぶやき vol.505】 宿泊施設にとって避けられない「客層のジレンマ」。この課題にこそ新たなチャンスがある?
2017.10.04 Wednesday 00:00

2017.10.04

前回は、「体験観光」や「交流体験」における「ジレンマ」のお話をしましたが、今回は宿泊施設にとってもっと根本的な「客層」に関するジレンマのお話です。

 

宿泊施設は、個人客と団体客、ビジネス客と観光客、男性客と女性客、若者と高齢者など、時には対立軸として捉えられる様々な客層の両方を、「基本的に」拒否することはできません。

 

ただ、現実的には、ビジネスホテルや観光旅館、カプセルホテルやドミトリー、場合によっては男性専用・女性専用など、多くの宿泊施設は、客層によって様々な形態に「細分化」されています。

 

こうした細分化は、「泊める側」「泊まる側」の双方にメリットが大きいため、表面立って問題にはなりませんでしたが、実はこの「細分化」の網から漏れている需要が近年、様々な形で顕在化してきました。

 

分かりやすい例では、女性専用のカプセルホテルです。

カプセルホテルと言えば、その多くは男性専用で、長らく「オヤジの楽園」として発展してきました。

 

しかし近年は、ハコモノの形がドミトリー型のゲストハウスに近いこともあって、カプセルホテルの「経済性」が女性の間でも認知されるようになり、「女性専用フロア」を設置したカプセルホテルや、1軒まるごと「女性専用」というカプセルホテルも続々とオープンしています。

 

ただ、まだまだ数が足りていないみたいですね。

とくに、需要側からすると、「女性専用フロア」という対応だけでは不十分なようで、「1棟まるごと女性専用」が望まれているのですが、一方供給する側からすると、まだまだリスクが大きい領域・・・なのかも知れません。

 

あと、客層どうしで「衝突」が起こりがちなのは、個人客と団体客(とくに合宿系の団体)です。

 

個人的には何度か、こうした「衝突」に遭遇したことがありますが、キャパの小ささから「団体客不可」を謳う宿や、複数の棟で客層自体を分離することができる宿などを除き、両者を完全に分離することは困難でしょう。

 

しかし、ご承知のとおり、大きな収入源である団体客を重視するあまり、個人や小グループからそっぽを向かれ、衰退した温泉街や温泉旅館は珍しくありません。

 

そんな中、一定規模以上の温泉旅館で、団体客をあえて受け入れず、個人客や小グループ、場合によっては温泉旅館が長年拒絶し続けてきた「1人旅」を積極的に受け入れ始めた宿も増えてはきましたが、こうした「英断」に踏み切れる宿はまだまだ少数です。

 

そしてさらに昨今、客層に関する「ジレンマ」で、その存在が表面化?しつつあるのが、趣味や趣向による客層の違いから生じる「衝突」です。

 

例えば、中世のお城を彷彿とさせる瀟洒なリゾートホテルでは、いわゆる「コスプレ」撮影を希望する客層が少なからず存在しますが、既存の客層からすると、多くの場合、それは「招かれざる存在」でしょう。

 

また近年、比較的安定した需要層?となっている「トレインビュー層」についても、一部のシティホテルやリゾートホテルでは、既存の客層からは敬遠されるようで、窓から鉄道が見えるというセールスポイントを「謳うに謳えない」ホテルもあるようです。

 

同じく、ライダーやサイクリストに関しても、「宿探し」に苦労している人は少なくありません。

 

もちろん、あえて客層を絞り、「〇〇の宿」として訴求している例もあることはあるのですが、客室規模や季節・曜日による需要の変動を考えると、客層を「絞り切る」ことは、そう容易なことではないでしょう。

 

客層のジレンマはある種、宿泊施設にとって「避けられないジレンマ」かも知れませんが、やはりクリアすべき課題があるところには常にチャンスも存在します。

 

弊社でも、これまで以上に、様々な「英断」に踏み切る宿を、積極的に紹介していきたいと思いました。

 

ニュース投稿やご質問・ご相談はこちら

P R ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

| まちおこし編集長 | 編集長のつぶやき | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【編集長のつぶやき vol.504】 観光コンテンツとしての「体験観光」「交流体験」における「必然的に生じるジレンマ」とは?
2017.10.02 Monday 00:00

2017.10.02

近年、旅行業界では、日本人の国内旅行、外国人による日本旅行ともに、「体験観光」や「交流体験」といった、従来型の観光からさらに、「地域」や「人」に一歩踏み込んだコンテンツが人気を集めています。

 

「体験」や「交流」の範囲や定義にもよりますが、これはある意味、脱観光?志向とも言えるでしょう。

とくに被災地支援ツアーやボランティア体験ツアーなどは、その象徴と言えるかも知れません。

 

また、「地域」や「人」に踏み込むという点では、自治体などが行っている「移住体験ツアー」や、場合によっては「婚活ツアー」だって、一種の「体験観光」「交流体験」と言えるでしょう。

 

さらにこうしたコンテンツは、「個人旅行」では実現困難なものが多いため、企画力や交渉力など、旅行会社の「力量」がこれまで以上に問われる商品とも言えます。

 

ただ、既に多くの人が感じていることだとは思いますが、こうしたコンテンツの「商品化」には、常にひとつの「ジレンマ」がつきまといますよね。。。

 

もともとは「脱観光」と言うか、「観光」の範疇を超えたツアー内容であったものも、組織的にツアー化され、繰り返されることで、やがては「観光」の範疇に入ってしまいます。

 

受け入れる側も、やがてそれに慣れてしまい、気が付けば、「交流」という名のもとに行われる「なんちゃって交流体験」になっていた、ということだってあり得るでしょう。

 

これまで「観光の範疇」に無かったものを、観光の範疇に引き入れる以上、このジレンマはある意味、避けられないことかも知れません。

 

となると、移動手段や宿泊施設といった「装置」のみを提供し、あとは旅行者の自発的または偶発的なハプニングをただひたすら見守る、といった、言い方によっては「放置型」とも言える旅行商品が再び注目される可能性があります。

 

とは言え、個人旅行では困難な部分について、旅行会社などがどこまで「お膳立て」をしてよいものか、悩ましいところではあるでしょう。

 

なお、旅行者どうしの交流という点では、かつてはユースホステルが大きな役割を果たしていましたし、現在ではゲストハウスがそれに代わってきています。

 

こうした宿では、旅行者どうしが盛り上がって、交流会に発展することもあれば、即席ツアー?が自然発生することも珍しくありません。

宿側の「お膳立て」は、おせっかい過ぎず、かと言って放置しすぎない、という、絶妙なバランスだったりします(笑)。

もちろん、たまたま居合わせた旅行者どうしが意気投合せず、そこから何も生じない可能性もあるため、最初から「交流」を保障できる「商品」ではありません。

 

旅行者側、旅行会社側双方にとって、「ジレンマ」を巡る旅は、今後も続きそうです。

 

ニュース投稿やご質問・ご相談はこちら

P R ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

| まちおこし編集長 | 編集長のつぶやき | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
←back 1/43 pages next→
Search
Profile
Category
Archive
Latest Entry
Recent Comment
  • ハッピードリンクショップ??? 【2015年07月 山梨県都留市】
    haru (04/16)
  • 長野には立派な「地下鉄」がある?長野電鉄「長野」駅にて。 【2014年05月 長野県長野市】
    test (04/16)
  • 岳南電車の終点「岳南江尾駅」へたどり着く裏ワザ?沼津駅前から路線バスに乗車(1)。 【2015年07月 静岡県沼津市】
    まちおこし編集長 (07/22)
  • 岳南電車の終点「岳南江尾駅」へたどり着く裏ワザ?沼津駅前から路線バスに乗車(1)。 【2015年07月 静岡県沼津市】
    yoshitomitakada (07/22)
  • 秋田杉で出来た、JR秋田駅前のバス停。 【2014年08月 秋田県秋田市】
    taic02 (08/28)
  • シビコ別館。ここにも昭和の栄華が。 【2010年12月 愛知県岡崎市】
    tt0138 (07/19)
  • 特急あずさの車内販売で、スジャータのアイスクリーム。 【2010年7月 特急あずさ車内】
    太郎 (09/23)
  • 【PR記事 一度は泊まってみたい宿】 2012年9月オープン。宮崎のマチナカに登場した隅研吾作品「ガーデンテラス宮崎 ホテル&リゾート」。 宮崎県宮崎市
    ふちがみかなこ (09/16)
  • 少しだけ、ホッとする並木道。 【2013年5月 茨城県つくば市】
    ダージリン紅茶通販のティチャイ (08/11)
  • この一画も再開発で変わる?福山駅前の一画。 【2009年12月 広島県福山市】
    紅茶通販茶専科ティチャイチャイ (06/07)
Recent Trackback
Links
Admin
Calendar
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< October 2017 >>
スポンサーサイト
Mobile
qrcode
無料ブログ作成サービス JUGEM