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【編集長のつぶやき vol.468】 相部屋の「ゲストハウス」と、あくまでも「食」が中心の「オーベルジュ」が融合する日。
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2017.05.17 Wednesday 00:00
2017.05.17
前回は、ゲストハウス風の相部屋(ドミトリー)を併設したレストラン(オーベルジュ)は果たしてあり得るのか?というお話をしました。
結論から言えば、「今後、誕生し得る」ということなのですが、この国では、今後こうした業態が萌芽しそうな背景が2つあります。
ひとつ目は、東日本大震災以降、復興の過程で、既存の業態やスタイルを超えたまちづくりや宿づくりが進行しつつあるということ。
東日本の被災地周辺では、ここ数年の間に、いわゆる「震災復興系」の宿泊施設が次々とオープンしました。
その多くは主に、「復興工事」を支える、言わば寄宿舎のようなスタイルの宿で、施設によっては「仮設の宿」に近いハコモノだったりもします。
こうした宿は、相部屋ではなく個室ではあるものの、先々「復興需要」が去った後、何らかの業態変更を模索せざるを得ないはず。
一方、仮設店舗の中には、店舗自体は簡素な造りながらも、地元の海の幸・山の幸をふんだんに使用した「食べごたえのある」料理を提供している飲食店も存在します。
むしろ、牡蠣小屋風と言うか、屋台に近い雰囲気がウケているのかも知れません。
こうした震災復興系の宿泊施設と飲食店は、今のところ、あまり近い存在には思えませんが、幸か不幸か、震災復興の過程で培われたワイルドさというか、既存のオーベルジュでもない、かと言ってグランピングでもない、独特の「食空間」を生み出しそうな予感がしませんか?
ふたつ目は、既存のオーベルジュでは拾い切れていない「客層」が存在している可能性があること。
先日、楽天トラベルが評価の高いオーベルジュランキングを発表しました。
同発表によると、オーベルジュの宿泊は前年同期比で+12.4%(約1.1倍)に増加、特に女性複数名利用の女子旅は+23.9%(約1.2倍)、女性の1人旅は+19.3%(約1.2倍)、20歳代の予約は+47.5%(約1.5倍)に伸張しています。
発表された数字からだけだと、「男性の影」が見えません。
しかし、男性の1人旅、男性のグループ、男女混合のグループなど、数字に表れていない「裾野」はもっと広いはず。
となると、既存のオーベルジュでは、ワイルド系?の需要を取り込み切れていないとも言えます。
また、前述の楽天トラベルの発表では「女性の1人旅」が伸張しているとのことですが、こうした人たちは、他の旅人とは交わらず、ひとりひたすら「食」に没頭するかと言えば、必ずしもそうとは言えないはず。
男女を問わず、相部屋特有の旅人どうしの交流と、こだわりの「食」の両方を求めている人も一定数存在すると思った方が自然でしょう。
それに、オーベルジュでは、「宿」の部分はあくまでも「付帯施設」。
「食」には糸目をつけないけど、寝泊りする部分は徹底的にコストカットしたい、という強者(笑)だっていても不思議でありません。
あくまでも「仲間内」だけで「食」を楽しむためのオーベルジュが今後とも主流であり続けるとは思いますが、ゲストハウスが持つ開放的な人間関係を売りにしたオーベルジュが、そろそろ登場してもよさそうに思いました。
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