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【編集長のつぶやき vol.592】 地方私鉄による「手堅い」ホテルチェーン展開。静岡鉄道はその先進例か?
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2018.09.04 Tuesday 00:00
2018.09.04
弊社のニュースサイトでは今年3月、【編集部取材】 大手私鉄に続き、地方私鉄も宿泊特化型ホテル事業に進出。ホテルは鉄道を支える「柱」となるのか? 福井県福井市という記事を掲載したのですが、記事中でも若干触れたとおり、静岡鉄道が県外初出店となるホテルを先日、福岡市にオープンしました。
【PR記事】 静岡鉄道、静岡県外初出店となる「静鉄ホテルプレジオ博多駅前」をグランドオープン、朝食レストランには静岡茶と八女茶の飲み比べコーナーなどを設置 福岡県福岡市
県外第一号店となる出店場所が、東京でも大阪でも京都でもなく、遠く離れた福岡というのは、少々意外に思われるかも知れません。
ただ、福岡ホテル事情と札幌のホテル事情に限れば、近年、イベント需要やインバウンド需要の増加に客室数のキャパが追いついていないとの指摘もあり、静岡鉄道に限らず、業界各社が「狙い目の市場」と捉えていることは間違いないでしょう。
もちろん、福岡にしろ札幌にしろ、地元資本のホテルが自らの市場を「草刈り場」にされることをよしとするワケはなく、当然、「迎え撃つ側」もそれなりに?対決姿勢を示しています。
さて、今回のニュースは、地方の私鉄が「ホテルを多店舗展開、しかも沿線を遠く離れた県外でも」という点では話題性のあるニュースでしたが、ただ単に「地方発のホテルチェーンの展開」と捉えれば、実はそれほど珍しいことではありません。
例えば、全国で300店舗超を展開するルートインは長野県上田市発祥(現在の本社は東京)ですし、比較的早い時期に宿泊特化型のビジネスホテルチェーンを展開したアルファーワンも富山の会社です。
また、九州を中心とする西日本で近年、急速な多店舗展開を図っているホテルAZも、本社は大分市。
さらに、全国区ではないにしても、中国地方や東海地方、北陸地方など、特定の地方の比較的広い範囲で他店舗展開を図っている「ローカル大手」のホテルチェーンも存在します。
ある意味、宿泊特化型のビジネスホテルは、地理的に水平展開し易いビジネスモデルなのかも知れません。
とは言え、既に先行ホテルが多数ひしめく市場にあって、ありきたりの「金太郎飴型の宿泊特化型ホテル」では、築年が新しいうちはよいでしょうけど、いずれ露骨な価格競争の渦に巻き込まれます。
その点、静岡鉄道の「静鉄ホテルプレジオ」シリーズは、昨今多くの宿泊特化型ホテルが採用しはじめた「洗い場付きのバスとトイレを分離した間取り」など、先鋭的な造り込みを比較的早い段階から導入していました。
今回オープンした福岡のホテルでも、こうしたゆとりある間取りに加え、室内灯の光色(電球色・昼白色・常夜灯)を好みに合わせて調整できる仕組みを導入するなど、派手さはありませんが、細かな部分で独自の商品造りが行われています。
同じく、昨今では多くの宿泊特化型のホテルが朝食で提供し始めている「地域色・郷土色のあるメニュー」についても「手抜かりなく」提供しているほか、静岡茶と八女茶の飲み比べコーナーなども設置するなど、「静岡鉄道ならでは」の企画も打ち出しており、宿泊特化型のホテルがひしめく福岡市にあって、やはり「かなり目立つ存在」に思えました。
もっとも、静岡鉄道の「静鉄ホテルプレジオ」シリーズは、今回の福岡を含めてもまだ4店舗。
近年、大手私鉄が急速に展開している宿泊特化型のホテルチェーンに比べれば、規模的な存在感は小さいかも知れません。
しかし、個々のホテルの存在感自体は、決して小さくないと思いました。
地方私鉄のこうした「手堅いホテルチェーン展開」には今後も期待したいと思います。
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