【編集長のつぶやき vol.373】 再考 夜行列車の「復活」(1)〜そもそも「需要」はある〜
2016.02.08 Monday 09:30
2016.02.08
この「編集長のつぶやき」では以前、夜行列車の「復活」についてお話いたしましたが、ご承知のとおり、今年に入ってから、またしても痛ましすぎる夜行高速バスの事故が起こってしまいました。

高速バスと言えば、2013年8月の法改正で、いわゆるツアーバスが無くなり、安全対策が強化され、業界健全化に向かっていたはず。。。

しかし現実には、激しい価格競争に加え、慢性的なドライバー不足という、業界全体の構造はあまり変わっていません。

残念ながら、大部分の夜行列車が姿を消してしまったこの国で、「夜行移動」の需要に応えているのは、一部のフェリー航路を除き、「過酷な労働環境」を前提とした夜行高速バスのみとなっているのが現実です。

こうした状況を打開する方策のひとつはやはり、夜行列車の「復活」でしょう。

もちろん、ここでの「復活」とは、「過ぎ去ったものへの郷愁」といった情緒的・趣味的なものではありません。

ドライバー不足の解消に加え、安全性・定時性・確実性の確保、複数の移動手段という「選択肢」の確保、いわゆる「イコールフッティング」の考え方に基づいた健全な競合環境の形成など、様々な要素を鑑みれば、「必然性のある方策」に思えてならないのです。

ではそもそも、「夜行移動」の需要とはどんなものでしょうか?

本源的には、「新幹線や航空機の最終便が出発した後に出発し、新幹線や航空機の始発便が到着する前に現地に到着したい」という点に尽きます。

観光にしろビジネスにしろ、「現地での時間を最大限に利用したい」という需要とも言えるでしょう。

ただ、夜行高速バスの場合、こうした本源的な需要よりもむしろ、「価格の安さ」に目が行ってしまい、新幹線や航空機といった「昼行移動」との競合に話が向かいがちです。

かつて、青春18切符には、確かこんな設問のアンケート票が添付されていました。
「もし、青春18切符が無かった場合、どうしますか?」

その選択肢は、「新幹線や航空機など、他の移動手段を利用する」と「旅行自体を取りやめる、もしくは回数を減らす」でした。

回答者の多くは、恐らく後者を選択したことでしょう。

つまり、そもそも価格が安くなかったら、その需要自体が発生しなかった、というワケです。

夜行高速バスについても、「昼行」か「夜行」かという問題よりも、ただ単に安かったからその需要が発生した、と言えなくもありません。

しかし、だからこそ、「本源的な需要」にもっと目を向けるべきです。

少々前になりますが、鉄道ライターの伊原薫氏が、YAHOO! Japan NEWSの寄稿「夜行列車がなくなる!これでいいのか、日本の『夜の移動』事情」(2014年1月27日配信)の中で、「夜行需要」に関し、分かりやすい「概算」を公開していました。

要約すると、東京〜大阪間の夜行高速バスは週末で1日100本、輸送人員はざっくりと3,000人。
一方、かつて東京〜大垣間を走っていた座席型の夜行快速「ながら」の定員は600人でバス20台分(週末はほぼ満席でした)。

これが寝台車になると話がややこしくなりますが、同氏の推計では、「ながら」を大阪まで延長し、片道5,000円の格安運賃を設定しても、1列車あたりの収入は300万円となり、「採算が取れる」事業になり得るというのです。

もちろん、1列車当たりの「原価計算」はそれほど単純ではありませんが、「需要」だけを見る限り、もともと3,000人規模のパイのわずか20%程度を奪取?できれば、夜行列車の「復活」は可能ということになります。

さらに言わせてもらえば、そこまでの「格安運賃」でなくても、鉄道の方が安全性や確実性、或いは快適性(バスでは酔うが列車では酔わないという人もいるはず)で勝ると判断する層を掘り起こせるはず。。。

と、まあ、ココまでは、東京〜大阪間という、そもそも移動需要のパイの大きい市場に絞って、やや「楽観的」な需要予測をしてみたワケですが、実は、既に多くの人が指摘しておられるとおり、問題の本質は需要よりもむしろ「供給体制」の方にありそうですね。。。

次回はその「供給体制」についてお話したいと思います。


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