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【編集長のつぶやき vol.470】 カーフェリーが復権の兆し?岩手県の宮古と北海道の室蘭を結ぶ航路が平成30年6月より運航開始。
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2017.05.24 Wednesday 00:00
2017.05.24
前回は、旅客列車や路線バスを利用した「貨客混載」が広がりを見せつつある、というお話をしました。
しかし、「貨客混載」と言えば、何か忘れちゃいませんか?
そうです。
「貨客混載」などと言わなくても、そもそもが「貨客混載」であったカーフェリーの存在です。
カーフェリーとは、クルマがそのまま自走して船に入り、ドライバーはフェリーの運航中、船内で「旅客」になるという仕込みのこと。
一般の乗用車も利用できますが、需要の大部分はやはりトラックです。
カーフェリーは、1980年代から1990年代にかけて、全盛期を迎えました。
とくに、本州各地から北海道へ向かう航路は、今にして思えば百花繚乱?のような状態で、北海道側の函館・岩内・小樽・室蘭・苫小牧・釧路などの各フェリーターミナルは、観光シーズンともなると、トラックドライバーに加え、マイカーやバイクで北海道を旅する「乗客」で大いに賑わっていました。
しかしその後、多くのフェリー航路が休止・廃止に追い込まれ、大手フェリー会社が経営破たんしています。
こうした中、縮小の一途をたどっていたカーフェリー業界で、久々に「新航路開設」のニュースが入ってきました。
岩手県の宮古と北海道の室蘭を結ぶ航路が、平成30年6月1日より1日1往復、運航を開始するというものです。
室蘭のフェリーターミナルは、1990年代まで、茨城県の大洗行きなど複数のフェリー航路が乗り入れ、さながら空港のような雰囲気でした。
しかし直近の約10年間、定期航路はゼロ。
個人的には、当時の栄華を知っているだけに「信じられない」状況です。
一方、岩手県の宮古にカーフェリーが発着するのは、今回が初めてとなります。
何ゆえに宮古〜室蘭間で新航路開設なのか?と思った人も多かったはず。
ただ、これにはいくつかの「合理的な理由」がありました。
少々意外な感じがしますが、ひとつめに挙げられるのが、北海道新幹線の新青森〜新函館北斗間の開業です。
新幹線の開業により、青函トンネルを走行できる貨物列車が「制限」され、鉄道輸送に限界が生じたということ。
ふたつ目は、宮古〜室蘭間の「距離」です。
現在、本州の太平洋側から北海道へ向かうには、大洗・仙台・八戸の各フェリーターミナルを利用することになるのですが、ここから苫小牧港へ向かう航路は、何れも「近すぎる」か「遠すぎる」距離でした。
これはどう言うことでしょうか。
宮古〜室蘭間で予定されているカーフェリーの運航時間は10時間。
トラックドライバーが必要とされている休息時間は8時間。
乗降などの作業時間を含めても、十分な休息をとることができる10時間の航路は、理想的な距離だったのです。
三つ目は、道路網の整備が進んだ点です。
かつて、三陸までの陸路と言えば、「遠い」というイメージがありました。
しかし近年は高速道路網の整備が進み、関東や東北の内陸部から宮古までのアクセスはかなり改善されています。
なお、室蘭フェリーターミナルは、JR室蘭駅から歩ける場所。
一方の宮古フェリーターミナルも、市街地からそう遠くありません。
「貨客混載」のお話からはやや脱線?しましたが、この新航路については、ますます深刻化するドライバー不足対策と、新たな「旅客需要」の創出という両方の点で、大いに期待したいと思いました。
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