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【編集長のつぶやき vol.532】 昨年秋に発表された「認知症にやさしい図書館ガイドライン」。認知症患者の「聞き取り」が歴史的アーカイブスになる?
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2018.01.22 Monday 00:00
2018.01.22
昨年10月、超高齢社会と図書館研究会(事務局:筑波大学)が「認知症にやさしい図書館ガイドライン」を発表しました。
図書館が地域社会やまちづくりに与える影響の大きさについては、某市のスタバ図書館などに限らず、様々な局面で多くの情報が流布しています。
当然、今の日本では、認知症と図書館の関係についても、こうした様々な「動き」が生じるのは必然的な流れと言えるでしょう。
ガイドラインの詳細については飛び先を見て頂きたいのですが、注目したいのは「本人の過去の経験や考えを尊重して会話をしましょう」という部分です。
これは、図書館での対応に限らず、認知症ケア全般に言えることではありますが、「図書館故に」「図書館だからこそ」という部分が大きいように思いました。
もちろん図書館ですから、認知症関連の書籍をラインナップする、といった基本的な機能の充実といった部分も大きいでしょう。
むしろ気になったのは、「読み聞かせ」など、図書館が有している拡大的な機能です。
「読み聞かせ」自体は、認知症患者に対する提供サービスの一環と捉えることもできますが、逆に「読み聞かせ」を「聞き取り」に置き換えればどうでしょうか?
認知症患者は、今朝食べた食事のことは忘れていても、若い頃の古い記憶は鮮明に覚えていたりします。
このサイトでは昨年8月、【編集長のつぶやき vol.494】今こそ、歴史の「生き証人」の証言を。「近い過去」によって「遠い過去」が書き換えられる前に。というつぶやきを掲載しました。
また、昨年4月には、【編集長のつぶやき vol.458】 注目の観光コンンテンツ「語り部」。今後はバブル以前の「踊り場的に幸福だった時期」に注目か。というつぶやきも掲載しました。
「聞き取り」の対象は、必ずしも歴史的大事件の当事者である必要はありません。
当時の「世相」を記録するためには、むしろ「一個人の普通の生活」を収集することで、歴史的なアーカイブスにだってなり得ます。
歴史的なアーカイブス。
これはまさに図書館の機能ですよね。
なお、認知症ケアの有効な手法のひとつに「回想法」というのがあるらしいのですが、どうせ回想法で「聞き取り」をするのならば、個人情報やプライバシーの問題があるにせよ、それを歴史的アーカイブスに活用できないものなのでしょうか?
なお、上記のガイドラインは改訂版の予定もあるようなので、今後とも注目していきたいと思います。
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